楽天モバイルは5Gでどう攻めるか。iPhone 5Gを扱えれば台風の目に(石川温)

1 month ago 37
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engadget

楽天モバイルは5Gでどう攻めてくるのか。

NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクは既に今年3月に5Gサービスをスタートしているが、楽天モバイルの動向がなかなか見えてこない。

楽天モバイルは今年6月に5Gサービスを開始する予定であったが「インドでコロナの感染が増えてしまい、データセンターへのアクセスができなくなった」(三木谷浩史社長兼会長)として、サービス開始を9月に延期としていた。

すでに8月中旬ということもあり、「楽天モバイルの5G開始は9月上旬なのか、それとも下旬なのか」とメディア関係者はやきもきとさせられていた。

5Gで「驚きのある料金プラン」投入を予告

そんな中、先日、楽天の決算会見がオンラインで行われた。記者が「5Gサービスのスケジュール感を教えて欲しい」と尋ねたところ「9月下旬ごろを予定している」と楽天モバイルの山田喜久社長から回答が寄せられたのであった。

続けて、三木谷社長は「料金プランは驚きもあるかなと思う。是非とも楽しみにしていただきたい。来るべきタイミングで大々的な発表をしたい」と含みを持たせた。

例年、9月といえば、各キャリアがiPhone発売に向けて新料金プランや大盤振る舞いなキャンペーンを発表する時期といえる。いわば、スマホ業界の繁忙期だ。

このタイミングでキャリアの乗り換えを検討するユーザーも出てくるため、顧客獲得合戦が盛り上がる。iPhoneを扱う3キャリアだけでなく、格安スマホなどのMVNOもこの時期に合わせて、新製品や新料金プランを投入するところもあるほどだ。

そこに楽天モバイルは5Gサービスで「驚きのある料金プラン」を投入してくると宣言したのだ。

3キャリアが5Gにおいて7000円を超える料金プランを揃えてくる中、楽天モバイルが5Gでも4Gと同じ2980円と言う料金設定をしてくるだけでも、相当、インパクトは大きそうだ。

ただ、今年のiPhone商戦は例年とは異なる様相となりそうだ。アップルが先日行われた決算報告の場で「今年のiPhoneは数週間、遅れる見込み」と異例のアナウンスを行なったのだ。今年のiPhoneは5Gに対応する可能性が極めて高いとされている。ソフトバンクの宮内謙社長は「晩秋から来年にかけて5G祭りになるだろう」と言及。おそらく、iPhone 5Gを皮切りに端末や料金などが一気に盛り上がるとみられる。

そんな中、楽天モバイルが、5G向けの料金プランで他社を差別化しつつ、iPhoneをランナップに加えられれば、iPhone商戦における台風の目になるだろう。

5Gなら「同じスタートライン」(楽天モバイル関係者)

もう一つ、5Gを語る上で欠かせないのがエリアだ。

楽天モバイル関係者は「後発の我々が4Gで他社に肩を並べるのは難しい。しかし、ほぼ同じスタートラインに立つ5Gネットワークなら勝負を挑めるかもしれない」と意気込む。

楽天モバイルは今回の決算会見で、4Gネットワークの計画を5年前倒すと宣言した。総務省に提出していた計画書では、2026年3月末までに人口カバー率96%をにするとしていたが、2021年3月末には人口カバー率70%、さらに2021年夏には96%を達成するとしたのだ。

楽天モバイルの場合、現在、稼働している4Gネットワークはすでに5Gにも対応できるようになっていると言う。ソフトウェアアップデートをかけることで、5Gのネットワークになるのだ。また、基地局に関しても、既存の4Gアンテナに5Gのアンテナを追加することでエリア展開が可能になるとしている。楽天モバイルでは、4Gの基地局を2万7397局、設置するとしているが、そのうち1万5000局に5G基地局を併設する計画だ。

では、すでにサービスを始めている他社はどうか。

5Gの場合、基本的には「5G基盤展開率」と言う独自の指標でエリア展開をカウントしているのだが、唯一、ソフトバンクだけが従来通り「人口カバー率」で計画を示している。

それによれば、ソフトバンクは2022年3月末には全国に5万基地局を設置して「人口カバー率90%超」を展開するとしている。

ソフトバンクの場合、4Gの基地局に5Gの電波を混ぜ込ませる「DSS(ダイナミックスペクトラムシェアリング」と言う技術を使い、既存の4G基地局を流用して5Gエリアを展開すると明らかにしている。また、KDDIとタッグを組み、地方においては、KDDIとソフトバンクの基地局をお互いシェアすることで5Gエリアを広げて行く取り組みも明らかにされている。

5万基地局とこうした工夫の組み合わせで2022年3月に「人口カバー率90%」というわけだ。

宮内謙社長は「(楽天モバイルは)現時点ではそれほど大した脅威にはなっていない。結局はどれくらいネットワークが広がっているかが重要。我々が必死に5Gでエリアを広げているのは人口カバー率で9割を超えないと本格的な販売ができないからだ」と語る。

ちなみにKDDIもソフトバンクと同じ手法で2022年3月末までに5万基地局を計画する。ただ、DSSの場合、4Gの周波数帯で5Gスマホが使えるだけに過ぎないため、エリアは広がっているように見えるが、通信速度は4Gとあまり変わらないとされる。つまり、KDDIもソフトバンクも通信速度よりもエリアの広さを重視するようだ。

一方、NTTドコモは2万基地局を計画するが、全て5Gに特化した基地局になる予定だ。NTTドコモの吉澤和弘社長は「4Gのユーザーが少なくなれば(周波数の転用を)考えていくが、現在は4Gユーザーがたくさんいる。エリアや通信速度に影響が出てくる可能性があり、ユーザー保護の観点に立った考え方が大事だ。また、4Gの周波数を5Gに転用したところで通信速度は4Gと変わらない。とはいえ、転用を否定しているわけではない。4Gユーザーが少なくなってからは検討していくが、まずはサブ6、ミリ波を活用したい」としている。

つまり、NTTドコモはエリアの広さよりも通信速度に重きを置いているということだ。

いきなり「スタンドアローン5G」で勝負

そんな中、三木谷社長は「スタンドアローンで差別化してアンリミットとの組み合わせで、楽天モバイルの魅力をあげたいと思う」と胸を張る。

NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクが、4Gをベースにしつつ、それに5Gを付加した形の「ノンスタンドアローン」で5Gネットワークを構築する中、楽天モバイルはいきなり5Gをベースとしたコアネットワークとなる「スタンドアローン」で勝負を挑む。そのほうが、5Gの「超低遅延」などの特徴を生かせるのだ。

値段、広さ、速さなど4社とも異なる戦略を見せる5Gネットワーク展開。この秋「5G祭り」が始まるが、どのキャリアが「使い勝手のいい5Gか」の戦いが始まりそうだ。

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